真珠雲母(マーガライト) margarite [戻る

CaAl2(Al2Si2O10)(OH)2

単斜晶系 二軸性(−)2Vx=40〜67° α=1.630〜1.638 β=1.642〜1.648 γ=1.644〜1.650 γ-α=0.012〜0.014 屈折率は白雲母より高く,へき開線や輪郭ははっきりしている。複屈折は白雲母より低く干渉色は1次の黄色程度。


色・多色性/無色。多色性なし。

形態/
板状の形態でそれの断面が1方向に伸びたように見えることが多く,伸び方向にへき開が発達する。板状結晶が扇状に集合していることも多い。

へき開/
1方向(板状の面)にきわめて完全。

消光角/
へき開・伸び方向に対し直消光。

伸長/

双晶/偏光顕微鏡では認めらない。

累帯構造/組成変化に乏しく,累帯構造は認められない。

産状非常にアルミニウムに富みケイ酸に乏しい泥岩起源の高温の変成岩(エメリーなど)中にスピネル,コランダム,苦土電気石,Al2SiO5鉱物などに伴い,鱗片状でまとまって産するほか,まれに角閃石片岩中のコランダムやAl2SiO5鉱物の結晶周辺を取り巻く後退変成鉱物として見られることがある。
また,高温の広域変成作用の過程で片麻岩と超苦鉄質岩の境で片麻岩が超苦鉄質岩による脱ケイ酸作用を受け,そこでコランダム,多量のスピネルなどと共に生成することがある。
局所的にまとまって産する場合があるが,あまり普遍的に産する鉱物ではない。
肉眼的には,へき開片は白雲母のような弾性はなく,もろく,わずかに硬度が高い。


角閃石片岩中の藍晶石周囲の後退変成鉱物としてできた
真珠雲母

Mar:真珠雲母,Ms:白雲母(またはソーダ雲母),Ky:藍晶石,Amp:角閃石,Zo:灰れん石

広域変成作用の過程で藍晶石・灰れん石を含む角閃石片岩が生じた後の後退変成作用で,藍晶石の周囲が変質し,真珠雲母や白雲母(またはソーダ雲母)などの集合体に変化したもの。なお,真珠雲母は白雲母(またはソーダ雲母)とはほとんど固溶せず,2相共存する。クロスニコルでは真珠雲母は白雲母(またはソーダ雲母)よりはるかに干渉色が低く,1次の灰〜黄色程度の干渉色を示す。一方,灰れん石はへき開が雲母類ほど発達せず,屈折率がやや高いので平行ニコルで雲母類より輪郭がはっきり見える(クロスニコルでは干渉色が1次の灰〜白色)。
※真珠雲母は緑泥石に似るが,真珠雲母は平行ニコルで無色で屈折率が高いのでへき開線ははっきりしており,また,干渉色は1次の灰〜黄色程度だが,緑泥石のように異常干渉色を示さない。


藍晶石(青)の斑状変晶を含む灰れん石角閃石片岩
藍晶石(青)の周囲は後退変成作用で真珠雲母や白雲母(またはソーダ雲母)に変化している。白は灰れん石,緑黒色は普通角閃石。このように灰れん石が多いCaに富む環境では藍晶石などは上の画像のように後退変成作用で真珠雲母化する傾向がある。




片麻岩が超苦鉄質岩による脱ケイ酸作用を受けてできた真珠雲母
Mar:真珠雲母,Co:コランダム,Sp:スピネル
高温の広域変成作用の過程で片麻岩と超苦鉄質岩の境で片麻岩が超苦鉄質岩による脱ケイ酸作用を受け,そこでコランダム,多量のスピネルなどと共に生成した真珠雲母。緑泥石に似るが,真珠雲母は平行ニコルで無色で屈折率が高いのでへき開線ははっきりしており,干渉色は1次の灰〜黄色程度だが,緑泥石のように異常干渉色を示さない。なお,このスピネルはやや鉄に富み,灰緑色を帯びている。